小布施町 飯田の家改修プロジェクト

~持続的な社会ストック(空き家)の活用と定住促進のモデルとして

 

背景長野県小布施町は、栗と北斎、町並修景事業、オープンガーデンによる花のまちづくりなどの独創的なまちづくりを継続的に展開し、現在も協働と交流のまちづくり続けている。しかしながら、まちづくりとして先進的な小布施町であっても、日本中が抱えるような地域課題は多い。町の主産業である農業後継者の不足、若者の働く場所、地域の高齢化率の上昇、そして空き家の増加である。

 

調査によると、使われていない建物は、町内に100件ほど存在している。全てが空き家というわけではなく、もちろん現在たまたま入居者がいない賃貸アパートなどもある。しかし、不動産情報を見ると、こうした建物が必ずしも賃貸として出ているわけではなく、また売りたいが、利益に見合わないなどの理由で情報として出てこない。 実際所有者に話を聞くと、「息子や娘がいずれ帰ってきて、その際新築するから」、あるいは「貸出していては、都合が悪い」「自分で手を入れてまで、直して貸そうとは思わない」という声が聞かれる。所有者が高齢のため施設等に入り、空いてしまったという話も聞かれた。

 

こうした内在的空き家は、把握がされにくく、また倒壊の危険や家が傷むなどの問題が顕在化してきた際には、改修が難しくなってしまう。特に古民家など、地域の建築様式を良く残し景観的にも重要な建築が、残ることがますます難しくなってしまう。

 

こうした状況を何とかしたい、そして小布施町に若い人が思い思いの住まいに移住ができるよう、空き家となっている住宅を活用した賃貸のモデル=空家活用モデルとして実践した。

施工   黒崎建設

協力   ムサシノ設備、木下ラジオ、中沢塗装、クレハ建材、永正建築

改修前
改修中
改修後

改修後の展開

 

5年後は、そのまま賃貸契約を継続し貸主に家賃収益が生じるようにしたり、息子・娘が帰ってくるなどすればそこを使うか、あるいは賃貸物件として不動産屋に仲介してもらうかの選択ができるようになる。他の空き家でも同様に展開してゆくには、比較的状態の良い中古住宅を、早いうちにリノベーション(更新)していくことが必要である。ただ今回は、建築の主要な構造部(柱・壁)に手を加えると手間や費用が掛かってしまうことが多いので、極力構造部に手を加えないようにしている。後々、屋根や柱に大規模な改修があるとすると、費用などをどのように準備していくかも、建物を長く維持し使っていくために大事になる。

建築デザインのちから

 

空き家といっても古民家に創造されるような状態のいいものばかりではない。また、時代の流行や仏間などを配した地域の伝統的な建築の間取りなど、若い人が好まないような場合もある。かつての民家は天井が低く、北の間が暗かったり寒かったりと不便な点も多い。古いから我慢するのではなく、現在の人が住むのに快適な環境をつくりだすことは、小布施の町並修景事業で行ってきたことでもあり、建築をつくる者の役目とも思える。間取りを自由にし、柱などの古いものを生かしながら現代の空間として使いやすいものにする。これも、建築デザインのちからの1つではないかと考えている。

材料の課題

 

現在、建築資材・設備には非常に効率がよく、性能が高いものが数多く開発され生産されている。しかしながら、現場を見てみると、極力ロスがないようにしながらも、余裕を持って材の準備をするため、少しずつであるが塗料や資材の半端がでる。現代は品質保証や安全管理、環境負荷が強調されることから、こうした半端材は場合によっては有償で処分されることが多い。今回、いくつかの業者の方にご協力をいただき、こうした半端なものをご提供いただいたりもした。改修の規模ではそれほど大量の資材は必要ならない上、基本的には自己責任、出来上がりも自己判断としているため、安価に施工することができる。例えば、0.5坪足りないフローリング材は、別のものを補填したりする。色のちぐはぐさも演出的にすることで、仕上がりに問題がなくなり個性的になったりする。全てが納期や保証で語られてしまいがちな昨今だが、使う側がもう少し素材のこと、つくる側に立って許容してゆくことが大事であると考える。そうすることで、職人から思わぬアイデアや長く使ってゆく技術の提案を受けられることもある。

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